今こそオープンソースソフトウェアの安全性が叫ばれねばならない時だ。巨大IT企業のプロプライエタリソフトは一体何をしでかしているのか、ユーザ側には全くわからない。勝手に我々のあらゆるデータを盗んでいるかもしれず、実際にGoogleが出現するずっと以前からプライバシー団体等がマイクロソフトを告発などしていたのである。
例えばテレビを例にとってみる。このテレビは裏蓋ががっちり固定されていて、中がどうなっているのか、利用者にはわからないものとする。普通に使う分には、非常に便利に使えるのだが、もしかしたら、盗聴器がついていて盗聴しているのかもしれない。
これが、プロプライエタリソフトという存在だ。競争力のある製品を作り、金儲けできるため、その製品は非常に優秀で便利なもので、消費者に選ばれてしまう。しかし、こちらにとっては中身が一切わからないので、このソフトが一体何をしでかしているのかはわからない。
その一方で、オープンソースソフトは、テレビの中身の設計図がすべて公開されているような状態だ。その公開されている設計図を見たり検証することのできる世界中の専門家によって、安全性もチェックされるため、そこに「秘密の設計」を忍ばせることはできない。
※一時的にはできたとしても、いつバレるかわからず、誰がやったかもわかってしまうため、結局は絶対にできない。
儲けを目的とし、それを開発資金とできるプロプライエタリソフトは、一般的にオープンソースよりも機能が優れている。対するオープンソースソフトは、基本的には世界中のボランティアが暇を見て開発に参加しているものだ。
もちろん、現在はオープンソースソフトの価値が広く認められ、寄付や大手企業からの大きな資金援助を受けている例も多数ある。特にLinuxに関しては、もはやWindowsやMacOSに比肩する機能があると言ってよい。
しかし、一般的に言って、オープンソースはプロプライエタリソフトに比較すれば、機能的に劣っていると覚悟した方が良い。例えば、高額で使い方も難しいAdobe Illustratorの対抗馬としては、オープンソースのInkscapeがあるが、Illustratorほどの機能は無いようだ。しかし、素人がデザインを作るには、これで十分であり、私も常に使っている。
最初に書いたように、プロプライエタリソフトとオープンソースには大きな違いがある。中身のことまでわからない単なる利用者側としては「少々使いにくい、機能が足りない」と思うかもしれない。しかし、中身を理解できる専門家からすれば、その安全性に大きな違いがあるのだ。
可能な限り、オープンソースソフトを使っていって欲しい。
私自身、IT業界に多くの歳月のあいだ身を置いてきたのだが、古くはマイクロソフトがプライバシーを侵害しているとか、最近ではGoogleが監視しているなどが語られることは一切無い。
製薬会社に支配されている医療業界と同じく、この業界では、巨大ITの力が強すぎ、そういった批判など、おそらく許されないし、IT業界の人々は、その中に骨の髄まで染まってしまっており、疑問を持つことも無いのだ。この構造はどの業界であろうが同じである。
逆に、「どうやって広告主の利益になる個人データを収集するか」を考えるのが日常でさえあろう。この人達に何かを期待することなどはできないことを肝に銘じるべきである。